家の暖かさの決め手は、何だと思いますか?
暖かい空間を作り出すために必要なことは、家自体の気密性を上げることや、暖房器具を性能の良いものにするなどさまざまありますが、それだけではありません。
熱伝導率が小さい木材を使うことこそが、一番重要なポイントなのです。
今回は、暖かさの秘密である木材の熱伝導率について詳しくご紹介します。
熱伝導率とは何か?
熱伝導率とは、熱の伝わりやすさを表す指標のことです。
また、熱伝導とは、ある物質間において温度差があるとき、高温から低温へ熱が移動する現象のことです。
たとえば、熱したやかんで考えてみましょう。やかんの持ち手部分が鉄の場合、熱くて触ることができませんよね。
これは、鉄の熱伝導率が大きいため、やかんの熱が伝わりやすいからです。
一方、木製の持ち手の場合は素手で触ることができます。これは、木材の熱伝導率が小さく断熱性に優れているためです。
他の素材と木材の断熱効果の違い
住宅でよく使われている素材と木材の断熱効果を比べてみましょう。
断熱効果が高いということは、熱伝導率が小さいことを表します。
ウレタン複合断熱材
もっとも断熱性能に優れた素材です。
同じ厚さのウレタン複合断熱材と木材を比較した場合、木材はウレタン複合断熱材のおよそ半分の断熱効果があります。
土壁
同じ厚みの土壁と木材の場合、木材は土壁の7倍以上の断熱効果があります。
コンクリート
コンクリートは気密性に優れていますが断熱性は低く、土壁よりも劣ります。
木材は、コンクリートの約15~20倍の断熱効果があります。
このように木材は他の素材と比べて断熱効果が優れていることが多く、住宅の暖かさを決める重要な素材だと言えるでしょう。
木材の熱伝導率が小さい理由
なぜ木材の熱伝導率が小さいのでしょうか。木材を顕微鏡で見てみると、パイプ状の細胞が寄り集まってできているのが分かります。
この細胞の空洞部分は、熱をもっとも伝えにくい空気で満たされています。そのため、熱が伝わりにくく熱伝導率が小さくなるのです。
熱伝導率は木の種類によって異なる
使う木材の種類が違うと部屋の暖かさも異なることをご存知ですか。
木材の熱伝導率は、内部に含まれている空気の量によって異なります。
つまり、より軽いほうが空気を多く含むため、熱が伝わりにくいのです。
一つの例として、針葉樹の杉と広葉樹のカリンを比較してみましょう。
杉の比重は0.38、カリンは0.65なので、杉のほうが軽く熱伝導率は小さくなりますから、断熱効果が高いといえます。
木は見た目にもぬくもりを感じますが、断熱性も非常に高いということをお分かりいただけたのではないでしょうか?
体温が下がると、免疫力が低下し風邪を引きやすくなるなど体調を崩す原因にもなりますね。
そのため、高い断熱性と保温効果のある木材は、暖かい住まいづくりにとって重要なポイントになるでしょう。