住まいの各スペースに設置する室内ドアは、以前は洋室には開き戸(ドア)、和室には引き戸(ふすまや障子)というのが一般的でした。しかし最近では、洋室にマッチするデザインや素材の引き戸も多くなり、開き戸から引き戸にリフォームするご家庭も増えています。開き戸と引き戸いずれにも良い部分はありますが、開き戸から引き戸にリフォームすることで得られるメリットは少なくありません。ここでは引き戸にリフォームするメリットと注意点についてご紹介します。
メリット1:開けっ放しにしやすく、通気や採光に便利
開き戸は開いた状態では前後にスペースを取るため、基本的に開けっ放しにするのに向かない構造だといえます。これに対して、引き戸は開けっ放しにしても邪魔になることがありません。
日光や外の空気を室内に取り込みたいときや、家事などで何度も行き来するときなど、必要に応じて開けっ放しにしておきやすい点は、室内ドアを引き戸にリフォームする大きなメリットです。また、開けっ放しにすることで、室内に開放感が出やすいという良さもあります。
メリット2:デッドスペースが生じにくい
開き戸は、ドアの前後に開閉のためのスペースが必要になります。このスペースを確保しなければならないため、家具などの配置に制限が生じます。つまり、開き戸の周りにはデッドスペースが生じやすいのです。一方、引き戸は扉枠以外に開閉のためのスペースは必要ありません。扉枠を設置するためのスペースさえ確保できる場所であれば、引き戸にするほうが空間を無駄なく有効に活用しやすいのです。
メリット3:バリアフリーに適している
開き戸は開閉や通行のために、身体も移動させる必要があります。身体を自由に動かせる健康な人には、室内ドアの開閉のための動きが気になるようなことは少ないでしょうが、高齢になると開閉のための大きい動作は歩行中の転倒などのリスクを高めることになりかねません。また、車いすを利用している方の場合、大きな移動が必要になる開き戸はとても通行しづらいものです。正面から大きな移動をすることなく開閉して通行できる引き戸は、住まいのバリアフリー化にも適した室内ドアです。
引き戸のデメリットも把握したうえで検討を
室内ドアを引き戸にリフォームすることにはメリットが多いですが、デメリットとなる部分もあります。
引き戸は気密性があまり高くありません。しっかりと閉じた状態であっても、音やニオイなどを遮る性能は開き戸に劣る場合が多いでしょう。
また、設置するためには横に扉1枚分のスペースが必要になるため、場所によっては引き戸にしたくてもスペースがなくて無理ということもありえます。価格についても、扉枠が大きくなる分、開き戸より高額になることが多いです。
こうした引き戸のデメリットについても理解したうえで、どの部分を引き戸にするのが良いのかを検討するのが、室内ドアのリフォームを成功させるカギであるといえるでしょう。